名前のないレストラン
チェンマイに限らず、タイには名前もないのにすごく有名でおいしい、というような屋台や飯屋が数多く存在している。それらの店は、タイ人の間でもクチコミによって知れ渡ることが多く、旅行者ではなかなか知ることができないが、現地の友人達から教えてもらったり偶然通りかかったらすごく混んでいて、食べてみたらおいしかったところをこのコーナーでは紹介したい。当然のことながら、こうした店はタイ語以外通じないが、並べられている料理や食材を適当に指差すか、周りの人が食べているものと同じものを示せば問題ない。もしかしたら、お客のオバチャンとかが助けてくれたりして、コン・ムアン(チェンマイ人)のホスピタリティーに触れることができるかもしれない。
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■チャンモーイ通り近くのカーオトム屋
場所:チャンモーイ通りとラーチャウォン通りの交差点のすぐそば。前者をお堀のほうから来て、交差点にぶつかる10mくらい手前にあるソイ(小道)を右折して少し進んだ左手。ターペー通りからラーチャウォン通りを経由して、逆方向からソイに入って来ることもできる
ワローロット市場やターペー通りからもほど近い、チャンモーイ通りとラーチャウォン通りの交差点付近は、自分がチェンマイに通い始めた1980年代終わりころは、主に卸売を行う店が立ち並び、市内でも最も活気あるエリアのひとつであった。が、時が経つにつれてどんどんさびれていき、現在では夜ともなると人通りも少なくて、道を歩いていると何となく不安を感じるほどだ。そんなエリアのソイ(小道)を入った奥まった場所に、とても流行っているカーオトム(お粥)の店がある。
店は意外に広く、間口、奥行ともに10mくらいはあるだろうか、向かって右手にはお粥を作るキッチン、左手には生春巻のショーケースやお土産用であろうか、お菓子などが並べられた安っぽい棚が置かれている。テーブルは4人がけのものが12〜13はあるだろうが、夜10時以降のお粥屋にとってのピーク時ともなると、満席状態になることも珍しくない。
しかし、いつ行っても感じるのだが、店内が汚い。もちろん客が帰った後にはちゃんと店員はテーブルを拭いたりはしているのだが、床にはゴミがいっぱい落ちていたり店内奥のほうにある従業員用と思われるテーブルには食べかけのお菓子や新聞・雑誌などが無造作に放置されたりしていて、あまり気分がいいものではない。
もちろん、料理を作っているキッチン周りなどはとても清潔に保たれているようだし、食器が汚れていたりするわけではないので、食事をするのにはまったく問題はないのだが、日本的な感覚を引きずったままこの店を訪れるとちょっと驚くかもしれない(くどいようだが、食事をする分には何の問題もない)。
メニューはキッチンを見れば一目瞭然だが、基本的にカーオトム一本勝負で、客は具材だけを指定して注文することになる。メニューは店内の壁に大きなボードで張り出されているがタイ語のみで、外国人観光客が来るようなタイプの店ではないので英語とかもまったく通じない。
具は、シークローンムー(豚のあばら肉)、クラパオムー(豚の胃)、サイオーム(腸?)、ムーサーップ(豚肉団子)、ヘットホーム(しいたけ)などがある。個人的にはクラパオムーが好みなのだが、店のイチオシはシークローンムーのようで、たまに迷っている客がいるとそれを勧めている、というシーンを何度か見たことがある。
店員は、注文が入ると丼を用意し、そこに蒸篭から蒸されたご飯をおたまでひとすくいして丼に移し替え、同時に具材を鍋で湯がき、火が通ると丼のご飯の上に乗せるとともに揚げニンニクやキザミネギなどをふりかけ、最後に熱いスープをサッとかけまわして料理を完成させる。その手際のよさは、特に混み合っている時などは見ていてほれぼれするほどだ。
肝心のカーオトムだが、スープの中に投入されていながらパラパラとしてしっかりとした歯ごたえを保っているご飯がすばらしい。これは、お米の選び方とかもあるのかもしれないが、おそらく、ご飯を炊くのに蒸篭を使用しているところに大きな理由があるのではないだろうか。蒸篭で蒸したご飯は水分が少なく、そのまま食べるのにはパラパラすぎて向かないのかもしれないが、スープの中に入れて食べると、逆にご飯が水分を含みすぎて食感を損ねることがなく、"カーオトムの中のご飯"という役割をしっかりと果たしている。メガストアの中のクーポン食堂などで出されるカーオトムが、しばしば炊飯器で焚いたご飯を使っているため、スープの中に入れられた時に必要以上に水分を含んでしまい食感を失ってしまっていたり、ひどい店になると、炊飯器の形のまま固まったご飯が丼に沈められていたり(ひどい手抜きだ!)いうことすらあるのと比較すると、雲泥の差だ。スープはスープで、全体的な印象としては比較的薄味(少々化学調味料の使われ方が気になるが)で、夜食としては適度な味加減になっていると思う。現実にオーダーすることはできないのだが、このスープで臓物たっぷりのカーオラオを作ったら、さぞかし美味なのではないだろうか。あっさりした味で量も少ないので、腹具合によっては具を変えて2杯トライするのも楽しいだろう。カーオトムの値段は、普通20B、卵入り25B、ピセート(特別)30Bとなっているが、何も言わなければ普通が出て来る。
ナイトバザール、ターペー門、ワローロット市場(夜市が開かれる)のいずれの場所からも楽々徒歩で行ける距離にあり、ロケーション的にもよい。夕食を済ませ、ナイトバザールを散策していたら小腹が減ってきたとか、旅行中タイ料理が続いて今日はあっさりと夕食を済ませたい、などという場合には特にお勧めできると思う。
だだし、前述の通り、店内はお世辞にも衛生的とは言いがたいので、そのあたりに神経質な方は行かないほうがいいだろう。
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■サンティタム5叉路北のクエティオ屋台
場所:サンティタムの5叉路から北に伸びるサンティタム通りを300mほど進み、ロータス・エキスプレスを通り越したすぐ先の十字路の北西角
最近、日本人の中長期滞在者も多く住んでいると言われている、お堀の北西角から北に入ったサンティタムと呼ばれるエリアで夜に何か軽く食べようとすると、ハサディセヴィー通りにズラリと並ぶ屋台か、少し距離があるが、チャーンプアック門のところに出る屋台街が思い浮かぶところだが、特に前者はどの店も量はやたらと多いものの、自分にとってはおいしいと思えるところが一軒もなくて、その周辺にある店を色々と食べ歩いた結果探しあてたのが、ここに紹介するロータスエキスプレスのそばにあるクエティオの屋台だ。
ロータスエキスプレスのすぐ北の十字路を左に曲がったすぐ右手に2軒屋台が並んでいる。手前は牛乳の店で、その奥にある緑色と黄色の看板がかかっているクエティオの屋台が見える。ジミー大西にちょっと似た(笑)顔をした愛想のいいおばさんがご主人と息子(?)を従えて店を仕切っている。メニューは、センレク、センミー、センヤイなどクエティオ各種にバミー(中華麺)のほかカオラオ(麺の入っていない内臓などの具とスープだけの料理)、イェンタフォーなどごく一般的な屋台の品揃えだが、この店ではセンヤイ(太麺)が特にお勧めだ。麺がほかの店は箸で持ち上げるとブツブツと切れてしまうことが多いのに対して、ここの店はプルルンとしていて切れることがなく、口に入れた時の食感がよい。具も、特に指定しなければルークチン(魚のつみれ)のほかに肉団子や豚肉、ムーデーン(チャーシュー)に加え、もやしやからし菜などの野菜も豊富に入っておりボリュームがあるように感じる。具を指定する場合は、ムー(豚肉)、ヌア(牛肉)、クルアンナイ(各種臓物)、シークロン(あばら肉)が選べる。
スープは、比較的甘めになっているがくどくはなく、テーブルの上にあるナームプラー、唐辛子などで自分の好みの味に調節するといいだろう。ただ、時々ぬる目のことがあるのが残念だ。
店は夜の7時ごろから夜中の12時過ぎまで営業しているので、夜遅くに小腹が減った時にも使える。このエリアはロータスエクスプレスのオープンに伴ってか、ほかにも食堂や携帯電話屋などいくつものショップがオープンし商店街化してきており、夜遅くでも人通りが絶えることがない(日本語の看板のあるコンドミニアムも近くに建設されている)。まだ自分はこの屋台以外で食事をしたことがないが、もしかしたら、探せばもっとほかにもおいしい店を見つけることができるかもしれない。
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■カーオソーイ・イスラム
場所:チャーンクラーン通り、チェンイン・プラザの前からチャルンプラテート通りに伸びるソイ1(小道)を入ってほぼ中ほどの左手
街の中心部、チャーンクラーン通りに位置するチェンイン・プラザの周辺は、今日ではナイトバザールをはじめとするみやげもの屋やレストランなどが連なるショッピング・エリアとして国内外の観光客を集めているが、その昔は、雲南地方やラオスとビルマ、中部タイとを結ぶ交易の中継地点として、チン・ホー(馬に乗った中国人という意味)をはじめとするさまざまな隊商が行き交う一帯であった。特に、チェンイン・プラザのほぼ真向かいからチャルンプラテート通りに伸びるソイ(小道)は、隊商の馬を停めておく場所となっていたので、移住したチン・ホーの末裔たちが今でもムスリムっぽい(ほとんどのチン・ホーはイスラム教徒であった)テイストのアイテムを販売する店を開いており、異彩を放っている。
そのソイの中ほどに、真っ白な店構えのカーオソーイの店がある。6〜7年前までは、並びに数軒同じような店があったのだが、今ではなくなってしまったか、開いてはいるものの寂れたカンジになってしまった。
この店で出されるカーオソーイの最大の特徴は、乾麺を使っていることだ。前述のようなこの地域のエリア特性を考えると、伝統的なカーオソーイが食べられるのかとも思われるのだが、乾麺を使うことが果たして伝統的なのかどうなのかは判然としない。ただ、やはり乾麺独特の風味が出ていることは確かである。肝心の味にはこれといった大きな特徴はなく、ほかの店のカーオソーイとの明確な相違点は見出せない。バリエーションも、ガイ(鶏肉)、ヌア(牛肉)、ルークチン(つみれ)などどこにでもあるもので、当然のことながらムー(豚肉)はない。価格は、タンマダー(普通)が25B、ピセート(特別)が30Bとなっている。カーオソーイ以外にも、カオモックガイ(鶏肉のカレーピラフ。ペッ(アヒル肉)もあり)、クエティオ(きしめん)、キヨウ(ワンタン)、ポッピア(春巻)などがある。
一応、店の入口には「カーオソーイ・イスラーム」という看板(タイ語のみ)を掲げているが、あまりにも一般的な名称なので、ここでは“名前のないレストラン”として扱うことにした。
営業時間は、他のカーオソーイの店同様、朝から午後3時ごろにかけてで、昼時が一番賑わっている。客も多くはムスリムのようで、チャドルを頭からかけた女性が目につく。
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■ワローロット市場の食堂
場所:ワローロット市場の3階
ワローロット市場は、チェンマイの主要な観光スポットのひとつだが、その周囲にはこれといった食事処がない。そこで、市場内にあるタイ人向けのメシ屋を利用することになるのだが、場所は大きく3ヶ所ある。ひとつはでは今回紹介する3階の食堂街、もう1ヶ所は同じ建物の(半)地下部分、そしてピン川に面したトンラムヤイ市場の駐車場の裏手だ。
しかし、(半)地下はスイートや飲み物の店が大半、駐車場裏手は衛生状態がいまいちというカンジ(実際に、以前ここで食あたりした経験がある)で、旅行者にはこの3階部分が一番入りやすいと思う。
西棟のみやげ物屋やおかず屋がゴチャゴチャと並んでいる1階から、壊れて動かないエスカレーターを歩いて2階へ、さらにそのすぐ右前にある階段を上がると、正面にはテーブルが数10卓、左側には店が10軒ほど並んでいる。
テーブルにつくと、注文取りの兄ちゃん、もしくはオバチャンがやってくる。こんな場所だから外国人も多いと思うのだが、まったく英語が通じない。しかし、麺類はカーオソーイからクエティオまで、ご飯類はカーオマンガイ(蒸鶏のせご飯。写真)、カオパット(炒飯)をはじめチョーク(お粥)、カオパットクラパオムー(豚挽肉とバジル炒めのせご飯)など、たいていのものがある。
料理は、どれも20〜30B、飲み物は7〜10B程度。カフェローン(ホットコーヒー)を頼むと、昔の作法通りチャーチン(中国茶)が付いてくる。
■ウィチャヤノーン通りのカーオソーイ屋
場所:ターペー通りからワーロロット市場方面へウィチャヤノーン通りを入り20〜30メートルほど行った左側
チェンマイ名物の「カーオソーイ」は、それぞれの店によって味付けが微妙に違っていて、それがまた楽しみのひとつなのだが、カーオソーイ・ホーが“あっさり系”の横綱とすれば、ここは“こってり系”の代表格といったところだろうか。
店は、建物にはさまれた幅わずか2〜3メートルの細長いスペース(実際は隣の商店の裏口に通じる小道)に8つほどのテーブルが並んでいる。何度行っても通りすぎてしまいそうになるくらい、目立たない存在だ。
カーオソーイは、ガイ(鶏肉)、ムー(焼豚)、ルークチン(魚のすり身団子)の3つの具から選択でき、「カーオソーイ・***」という風に頼む。25B(タンマダー:普通)と30B(ピセート:特別)があるが、何も言わなければタンマダーになる。口に入れた瞬間にとろけるくらい長時間煮こんだガイが絶品。カーオソーイのほかに、クエティオ、センミー、ウンセン、キヨウ(ワンタン)、イエンタフォーがあり、それぞれ25B。1998年4月に5B値上げしたが、それでも安い。
店の奥には飲み物のコーナーもあり、席につくと注文を取りに来る。カフェー、オーワンティン(オバルティン)、オーリエン、チャーなどすべて8B。ピリッと辛いカーオソーイには、毒々しいオレンジ色をした甘ったるいチャー・イェン(アイスミルクティー)がおすすめ。
11時から2時ごろまでの昼時のみ営業。1時すぎに行くと、カーオソーイは売り切れのことも多い。
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■チェンイン・プラザ向かいのお粥屋台
場所:チャーン・クラーン通り沿い、チェンイン・プラザの対面
夜は歩道の両脇に連なる露店と観光客でごったがえしているナイトバザール。しかし、早朝にはまた一味違った表情を見せている。そのひとつが、チェンインプラザの向かいに出るお粥の屋台だ。
店のメニューは、主に2種類。ひとつはチョーク(砕いた米のお粥)で、生卵を入れると「チョークサイカイ」さらに鶏肉を入れれば「チョークサイカイガイ」となる。中国式の揚げパン(パートンコー)が付いてくる。
もうひとつは「カーオラオ」。牛や豚のさまざまな内臓を入れたスープとご飯のセットで、その絶妙な味付けは特筆に価する。この屋台の隣には飲み物の屋台も一緒に出ており、食事の後の濃〜いカフェー(コーヒー)もまたよい。
いつ行っても、出勤前のOLなどで賑わっている。8時すぎには閉まってしまうので、早起きしていくこと。不定期に休むようだ。
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