ガイドブックのガイド
チェンマイや北タイを旅行しようとして日本語のガイドブックを開くと、その情報量の少なさに驚かされる。日本人旅行者の多いチェンマイでもせいぜい10数ページが割かれている程度で、しかも写真が多く、寺院であればその歴史的な背景や内部の説明といった、見どころをより深く理解するための解説はきわめて貧弱なレベルにとどまっている。これでは、実際の旅行中はもちろんのこと、事前のプランニングを楽しむのにも充分とは言えないだろう(著者および出版社のみなさま、ゴメンナサイ)。
一般的に、タイのプリント・メディア文化は未発達だと言われているが、それでもやはりチェンマイに関するガイドブックや地図の品揃えは現地チェンマイが一番だ。特に、現地で発行されている英語のガイド、地図の類はかなりの数が出回っており、内容もバラエティに富んでいて、単なる旅の道具としてだけでなく、文化理解の参考書としての価値があるのではないかと思われるくらい質の高いものも少なくない。
このコーナーで紹介しているガイドブックと地図は、ほとんどがチェンマイの書店で購入したものだが、今では見かけなくなってしまったものも含まれている。チェンマイおよび北タイを旅する方は、現地に着いたら一度これらの店に出向いて、試しに中味をのぞいてみてはいかがだろうか。もしかしたら、旅の友として、長く付き合える一冊に出会えるかもしれない。
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ガイドブック
■FOOD PARADISE:CHIANGMAI RERTAURANTS 2006-2007
発行:ChiangMai Restaurant Club
ISBN:974-94915-1-3
価格:120THB
「レストラン」のコーナーで紹介しているヒム・ポーチャナーのオーナーが理事を務め、市の主要なレストランやパブなどの飲食店の多くがが加盟している「チェンマイ・レストラン・クラブ」発行の食専門のガイドブック。編集はフリーペーパーの“CITY LIFE”が手がけている。
A5判、約120ページという持ち歩きにも手頃なコンパクトなサイズの中に、タイ料理、日本料理を含む世界各国料理のレストラン、さらにはフードコート、パブ&バーやデリカテッセンまで、正確にはわからないが、おそらく150軒以上が紹介されており、普段滞在中はタイ料理しか口にせず行く店もついつい固定化しがちな自分は、「チェンマイの飲食関係の店はこんなにもバラエティに富み、また数が多かったんだ」と改めて驚かされた。
メインのお店紹介は、1ページに3軒ずつ、概要と住所・電話、営業時間、ウェブサイトのURLが英語とタイ語で掲載されている(巻末にはマップも綴じ込まれている)ほか、2人で行った時の料理のおよその予算、ライブバンドが入るか、送迎サービスや個室、日本語メニューの有無などが記号で示されており、見た目のスペース以上に情報が盛り込まれている。店によってはさらに太字でお勧め料理も載っており、実際に店に足を運んだ時にも活用できる。説明文の量も非常に少ないが、編集に携わっている“CITY LIFE”のライターの力量が優れているのだろう、無駄がなく、かつ読み手にとっては興味をそそり「一度行ってみようか」という気持ちを呼び起こすようなセンテンスで埋めつくされている。
店舗の紹介以外にも、もしかしたら“CITY LIFE”からの転載かもしれないが、北タイ料理の解説、オーダーのしかた、チップについてといった実際の食事に役立つ情報から食用の虫や唐辛子の種類ごとの辛さの数値比較のような記事のページまでが掲載されており、楽しめる。
掲載されている店の数があまりにも多いため、短期間しかチェンマイには滞在しない、あるいは初チェンマイの人にはかえって使いにくい(タイ語も英語も苦手な個人旅行者がホテルのコンシェルジュに店の予約を頼むのには便利と思う)かもしれないが、自分のようなリピーターや在住の方は持っていて損のない1冊だ。
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■A MOTORCYCLE GUIDE TO THE GOLDEN TRIANGLE
著者:David Unkovich
発行:Silkworm Books
ISBN:974-7100-36-3
価格:395THB
タイトルの通り、バイクを使ってタイ北部を旅する人のためのガイドブック。タイトルには「ゴールデントライアングル」とあるが、チェンマイを起点としてチェンラーイ、ナーン、パヤオ、プレー、ラムパーンなどの各方面を幅広くカバーしている。
体裁や内容は、実用に徹した至ってシンプルなつくりで、版型はツーリングの途中でもすぐに取りだして見ることのできるポケットサイズ。200ページ強あるコンテンツも、ルート別の簡単なコース説明に、その中のポイントとなる地点間の距離、所要時間、道路の状態などが簡潔に記載されているだけだが、必要な情報はキチンと押さえられている。コース説明の冒頭には、それが経験者向けかそうでないかが明記されいる(「経験者」の定義も巻頭に載っている)ので、コースを選ぶ際に不安に思うようなこともないだろう。また、マップは縮尺や方向などをまったく考慮せずに直線のみで描かれ、ポイントの名前とポイント間の距離が記されただけのまったく簡略なもので、さすがにこの地図だけでドライブに出るのには少々無理があると思うが、これも巻頭にお勧めの地図が紹介されているなど、フォローされている。主要都市については宿泊施設も案内されているが数は少なく、電話番号と値段、設備などが簡単にコメントされているだけなので、あくまでのドライブだけのためのガイドブックと割り切って使った方がいいかもしれない。
紹介されているコースは、県都など主要都市間を結ぶ国道ルートはもちろんのこと、そこからはずれた山の中にある山岳少数民族の村を訪ねるコースや、同じ道を2度通らずに出発地に戻って来ることができる周回コースなど数が豊富で、北タイの地理をある程度知っている人なら、読んでいるだけでも楽しくなるだろう。
チェンマイのレンタルバイク事情やツーリングに出る時の注意事項などの一般的な情報はほとんど載っていないが、著者のデヴィット・アンコヴィッチ氏はインターネットのサイト(「リンク集」のコーナ参照)も持っており、そちらには本書にはないそうした情報も掲載されいるので、双方を合わせて使うとより色々なことがわかるだろう。
「郊外のスポット&ドライブコース」で紹介しているような、チェンマイ近郊のルートは載っていない(というか、そういうのはツーリングとは言わないのだろう)ので、どちらかというと、ある程度の長距離をバイクを使って旅したい人向けのガイドブックだ。
■CHIANG MAI & NORTHERN THAILAND
発行:Lonely Planet Publications
ISBN:1-74059-064-3
価格:17.99USD
欧米の旅行者におそらく最も多く利用されていて、また最近では日本語版も刊行されているLonely Planet(ロンリープラネット)が、2002年4月に“ChiangMai & Northern Thailand”を上梓した。
自分は、タイを本格的に旅行しはじめたころ、同社の“Thailand”を愛用していたのだが、それはこの本が単なる旅するためのガイドブックとしてだけでなく、タイの社会や文化を理解するための教科書としても十分使用に耐えるだけの非常に内容の濃いもので(当時は、ガイドブックを含め日本語で著されたタイ関係の書物はほとんどなかった)、読み物としてもとても面白かったからであった。そのタイランド編は、その後どんどん版を重ねて今ではとてもぶ厚いものになっているが、この“ChiangMai & Northern Thailand”も著者は同じジョー・カミングス氏で、それに負けるとも劣らぬ充実した内容の1冊に仕上がっていると言えるだろう。
本書は大きく分けて、タイ北部の歴史や経済、宗教などについて解説した“Facts About Northern Thailand”、ビザや通貨、食べ物など旅をする上でのポイントを記した“Facts About The Visitor”、チェンマイと海外各地の往復およびチェンマイとタイ北部地域内を移動するための交通手段を詳細に説明した“Getting There & Away“と“Getting Around”、そしてメインのコンテンツである各都市・地域のガイドで構成されている。“Facts About The Visitor”のコーナーでは、女性、シニア層や体が不自由な人、さらには同性愛の旅行者に向けての個別アドバイスまで載っているが、特に現地でかかる可能性のある病気や旅の最中に遭遇することが多い危険(客引きや強盗など)に関する情報は、リピートトラベラーが改めて読んでも役立つのではないだろうか。
各都市・地域ガイドは、チェンマイ市内、周辺部(チェンマイ郊外、ラムプーン県、ラムパーン県)、東部(チェンラーイ県、プレー県、ナーン県、パヤオ県)、南東部(ピッサヌローク県、スコータイ県、カンペンペート県、ペチャプーン県、ウタラディット県)、西部(ターク県、メーホンソーン県)に分類され、総ページ数はおよそ240ページにも及ぶ。しかも、日本の出版社が発行しているガイドブックとは異なり、写真が少なく文字は2段組なので、掲載されている情報の量は膨大だ。見どころや宿泊施設、レストランの案内以外にも、例えばチェンコーンのところでは“プラー・ブック(メコン大ナマズ)”、ラムパーンのページでは“タイの象”といった、その土地に関連する事象についてのコラムもあり、興味をそそられる。地図も、エリアガイドのコーナーの中だけで40枚近く用意されているほか、主要な地名や見どころにはタイ語が併記されているので、タイ人に道順などを聞く場合にも便利だろう。宿も、チェンマイは“Bugdet(経済的)”、“Mid-Range(中級)”、“Top End(高級)”と3つのレベルにランク分けされ70軒以上が紹介されている。
“Thailand”は日本語版が出ており(発行:メディアファクトリー、ISBN:4-8401-0865-X)、そちらでもチェンマイと北タイで180ページ近くが割かれているので、チェンマイとタイ北部に限らずタイ全土を広く旅したり、英語がまったく苦手、という旅行者にはそちらの方が使い勝手がよいと思われるが、ロンリープラネットのシリーズで使われている英語はそれほどむずかしいものではない(おそらく、英語を母国語としていない人も使えるようにとの配慮からではないだろうか)し、地域が絞られている分軽くて持ち運びにも便利なので、チェンマイとタイ北部だけを旅する人にはこちらの方をお勧めしたい。ただし、著者がアメリカ人で欧米からの旅行者を主要ターゲットにして書かれているので、レストラン紹介はタイ料理の店よりも西洋料理の店の数の方が多いと思われるなど、日本人の旅行スタイルとは少々フィットしないところがあったり、この本に紹介されている宿に行くとそこは白人旅行者でいっぱい、なんてことに遭遇することもある、といったデメリット(?)もあったりするのはいたしかたないのかもしれない(かわりに彼らがタイを旅行する時の価値基準がかいま見えたりして、それはそれで面白いが)。
旅のガイドブックそのものとしてはもちろんのこと、チェンマイおよびタイ北部の歴史や社会、文化理解を深めたいと思う人にとっても非常に利用価値が高いので、個人的にはぜひ一度目を通してほしい1冊だと思う。
■ART AND CULTURE LANNA
発行:Serendipity Designs Co.,LTD.
価格:無料
“Unseen Thailand”(タイ王国政府観光局のキャンペーン・キャッチ・フレーズ。旧Amazing Thailand)プロモーションツールのひとつとして発行された、主にエスニック雑貨の店舗を紹介した50ページ強のリーフレット。表紙には“北部タイにあるスタジオ、ショップやその他の素敵なスポットを紹介します”と日本語で書かれている。
内容は、大きく雑貨ショップガイド、スパの紹介、およびレストラン&料理教室案内に区分されており、それぞれのコーナーの巻頭には短い読みものが掲載されている。メインのコンテンツである雑貨ショップガイドは、サンカムペーン、ハーンドーン、ピン川沿い、市中心部、フワイケーオとエリア別に区分され、全部で40店舗が紹介されているほか、チェンラーイ、ラムプーンのお店も1店ずつ掲載されている。紹介されている店舗や扱っている商品の写真はどれも非常に洗練されており、自分は“チェンマイには、こんなにおしゃれな店がいっぱいあったんだ”と驚いてしまった。これだけの店が載っていれば、たいていの旅行者の雑貨に関するウォンツは、充足させることができるのではないだろうか。
スパのコーナーは、7店舗が掲載されている。この1〜2年、タイ全土は“スパ・ブーム”という様相を呈しており、ここチェンマイにも新しい店が次から次へとオープンしているが、まだそれらをまとめて紹介しているガイドブックは見あたらないので、そういった方面に関心のある旅行者にとっては、非常に有用であろう。なお、レストラン&料理教室のコーナーは2店舗しか載っておらず、ほとんど役に立たない。
何回か版を重ねているが、2003年7-9月号(ということは、年4回発行か?)から、店名と扱い品目には日本語も付記されるようになり、我々にとってはより一層使いやすくなった。巻末には店の所在地をプロットした市内とサンカムペーン、フワイケーオ通り、メーリム、ラムプーン、ハーンドーンの簡単な地図がついているほか、本文内の店舗の住所はタイ語表記もなされているので、トゥクトゥクなどで目的の店に向かう時などにも便利だろう。
本には、旅行代理店、TAT、タイ航空および海外のタイ政府輸出振興局のオフィスで入手できると書かれている。出版の形態からするとフリーペーパーということになるのかもしれないが、内容的にはガイドブックに近いと思われるので、このコーナーで取り上げることにした。アジアン雑貨をチェンマイで探そう、という人にとっては、おそらく今現在最も役に立つガイドブック、ということになるのではないだろうか。
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■WINDOWS OF CHIANG MAI 〜THE HIDDEN TREASURE〜
著者:Michael Map
ISBN:なし
価格:13THB
わずか20ページのコンパクトな英語のガイドブック。ISBNコードがなく発行元も記載されていないことから、自費出版ではないかと推測される。
筆者の趣味を反映しているのか、内容はチェンマイの歴史と堀の中にある寺院の紹介がほとんどだ。寺院は「Ancient City Tour(旧市街ツアー)」というタイトルでまとめられており、堀を取り囲む4つの門、4隅のコーナーの名前の由来などと合わせて、歴史的な背景を中心に結構詳しく解説されている。レストラン、ホテルなどの旅行情報がまったくないため、これ1冊でチェンマイのガイドブックとしての用は足りる、とは言えないと思うが、旧市街の寺院を中心に観光しようと考えている人にとっては十分満足できる内容だろう。
単色刷りのシンプルなつくりではあるが、歴史都市としてのチェンマイを愛する筆者の気持ちが伝わってくるようなリーフレットだ。
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現在、大幅にボリュームを増した第2版(?)が書店で販売されている。
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■チェンマイの歩き方
発行:タイ国際航空・(株)ダイヤモンドビッグ社
非売品
≪2002年版≫
2002年版も構成は基本的に前年版と同じで、「アジアン雑貨の街」でのアイテム紹介、「チェンマイのご馳走」での料理紹介が“特集”と位置づけられており、続いて“The Areas”としてチャルンラート通り、ニマーンヘミン通り、ナイトバザールの3ヶ所が取り上げられている。前回、第4のエリアとして掲載されていたサンカムペーンは“ハンディクラフトの町サンカンペーン”(原文のまま。タイ語の綴りを見ると、サンカムペーンと書く方が正しいと思うのだが……)として独立した。さらに“市内の魅力スポット”、“郊外のお楽しみスポット”としてショップとレストランが紹介されているほか、“チェンマイを楽しむために知っておきたい便利情報”として、乗り物や両替、荷物の配送などのインフォメーションもある。ショップやレストラン、中に掲載されているグッズや料理の写真は、一部差し替えられているが、大部分は2001年版と同じである。
しかしながら、写真の美しさは相変わらずであるし、これだけの雑貨ショップを紹介している本はおそらくほかにないので、チェンマイで雑貨ショッピングを、と考えている人(特に女性)にとってはとても価値があるガイドブックだと思う。下の「マーケティング的視点からの考察」でも言及しているが、せっかくこれだけ質の高いものを作ったのだから、なるべく多くのチェンマイを訪れる旅行者が手に入れられるようにすべきではないだろうか。
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≪2001年版≫
タイ国際航空(TG)と、「地球の歩き方」編集室が共同制作した、チェンマイを訪れる旅行者向けのリーフレット(小冊子)。
サブタイトルに「タイの古都・チェンマイで洗練されたアジアン雑貨を探す」とあることからもわかる通り、メインはインテリアグッズのショッピングガイドで、それにレストラン紹介が若干……という構成になっている。インテリア雑貨の店はエリア別に紹介されており、従来から他媒体でも取り上げられているナイトバザールやサンカムペーンはもちろんのこと、ピン川左岸のチャルンラート通り沿いに並ぶ高級ショップや、最近注目の買物スポットとして話題にのぼることが増えてきたニマーンヘミン通りの店などが、きれいな地図・写真とともに紹介されている。取り上げられている店は、布・織物、陶磁器、木製品など幅広いカテゴリにわたっており、これ1冊あれば買いたいアイテムを扱っている店を最低1軒は見つけることができるだろう。
レストランのコーナーも、サンドイッチカフェから、カーオソーイの店まで幅広く紹介されている。中には、市内から車で30分以上かかり、「このガイドブックを使うような旅行者が、果たして行くことができるのか?」と首を傾げたくなるようなロケーションのレストランも載っているが、リピーターにとっては「へ〜、こんなところにも店が……」というような、新たな発見があるかもしれない。
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≪マーケティング的視点からの考察≫
個人的な推測なのだが、このリーフレットは、アジアン雑貨ショッピング旅行の目的地として人気が急速に高まっているベトナムに対抗し、最終的にはTG利用者(チェンマイへの旅行者)を増加させることを目的に、若い女性を想定ターゲットとして制作されたものであろう。そのため、紹介されている店も全体的に高級感、おしゃれ感の漂っているところが多く、まるで女性誌のようなビジュアルで埋めつくされている。
しかし、マーケティング戦略として考えた場合、タイがベトナムと同一軸で勝負するのが、果たして得策なのだろうか、という疑問を投げかけざるを得ない。なぜならベトナムには、タイにない強力なアドバンテージ、“フレンチテイスト”というものがあるからだ。日本における昨今のアジアン雑貨ブームは、ある意味“コロニアル(植民地風)”という、一ひねり加わった流行であるとも言えるわけで、その点ではフランスの香り漂う町並みとアイテムを揃えることが可能なベトナムに、チェンマイ(タイ)がまともにぶつかったら勝てるとは思えない。具体的にこれ、というのは直ちに思い浮かばないのだが、何か、もう少し違う切り口でもってターゲット・アプローチした方が、チェンマイ、ひいてはタイの差別化が図れ、最終的にはその優位性をアピールすることに結びついていくような気がする。「地球の歩き方」発行元グループの一社であるダイヤモンド社の「ハーバード・ビジネス・レビュー」にも“差別性はブランドの独自性を表すものであり、消費者からの支持を得るための基礎となる”<注>とある通り、競合との差別化はブランディングの最も根幹を成すものであり、ここができていない限り、その後のすべてのブランド構築への投資と企業活動は、効率が悪くなってしまう可能性が高くなるのだから。
また、写真は2001年度版だが、タイ航空のホームページを見ると、すでに2002年度版が発行されているようだ。しかし、配布は「チェンマイ行きのTG・PEX運賃チケットをご購入、または下記(省略……引用者注)の旅行会社主催のチェンマイ行きツアーにお申し込みの方に、もれなくプレゼントいたします。」となっており、チェンマイを訪れる人の誰もが簡単に手に入れることができる、というシステムにはなっていないのが残念。
内容的には大変充実しており、チェンマイに行こうという旅行者、とりわけアジアン雑貨ファンの女性にとってはとても有用なリーフレットだと思うので、希望者には、送料などを実費負担してくれれば配布する、というような仕組みにした方が、チェンマイの観光産業育成の裾野を広げる効果は高まるのではないだろうか。より多くの部数を発行すれば、1部あたりの制作・印刷コストは下がるので、送付コストさえ自己負担にすれば、潜在顧客層に対するメッセージのリーチ(到達)・コストは格段に改善されるはず(発送にかかる人件費は別)だからだ。
もっとも、「TG利用客を増やす」という本来の目的(?)を考えると、昔の全日空のように路線を独占していて、「北海道に行こう!」というキャンペーンをやって旅行者を増やせば自動的に搭乗客も増える、という環境にあるのならともかく、日本・東南アジア間でもっとも過酷とも思えるバンコク線の競争環境を考えると、こうしたツールではなく、やはり本業(フライト・オペレーションや機内サービス)の魅力をアピールできるプロモーション展開を考えることがマーケティング的には王道なのだろう。しかし、実はそれが一番むずかしいことなのだが……。
≪注≫ダイヤモンド社「ハーバード・ビジネス・レビュー」2002年3月号、P59
マップ
■IDEAL MAP CHIANGMAI
発行:PSP Publishing
ISBN:974-92243-1-0
価格:89THB/2.50USD
バンコクに本社のある出版社の発行。タイトルの下に“Your Personal Compact Guide”というキャッチコピーがつけられていることからもわかる通り、地図というよりも地図の体裁を取ったミニガイドブックと呼んだほうがふさわしいかもしれない。単純な面積比で見れば、地図よりもガイドとしての文字のスペースのほうが明らかに多い。
地図はチェンマイ県全体、ドーイインタノン、チェンマイ市内、ドーイステープ山系を中心とした郊外の4点が掲載されている。いずれの地図も非常に簡略化された内容で、道路についてはごく主要なものしか記されていないので、市内地図などは実際にこれで歩いたりしようとしたら、ほとんど用をなさないであろう。そのかわり、寺院やショッピングスポットなどはきれいな色のシンボルイラストを上手に使ってプロットしているので、とても見やすくなっている。特にドーイインタノン地域の地図は、ここだけをピックアップして掲載しているマップを見たことがないので、このタイ最高峰に行ってみたいと考えている人には役立つことだろう。
一方ガイドのほうは、チェンマイ県全体、ドーイインタノン、市内の3つのエリアについてそれぞれ10ヶ所のスポットを取り上げ、写真とともに簡単な解説をつけている。ほかにも主要ホテルやレストラン、ショッピングエリアなどのリスト、県内の地方に向かうバスの乗り場と料金などが掲載されている。リストにあがっているホテルは番号が振られ、電話番号、一おおまかな予算(一部のみ)が記載されており、地図上にもプロットされている。
ガイドで取り上げられている10ヶ所の観光スポットは、どのような基準で選ばれているのか定かではないが、市内ではワットプラタートドーイステープ、チェンマイ動物園、ワットチェットヨート、ワットスワンドーク、ワットプラシン、ワットチェディルアン、チェンマイアート&カルチュラルホール、ワットチェンマン、ワローロット市場、ターペー門&チェーンスリプーム(お堀の北東角の城壁)となっている。果たして、これが誰もが納得できるトップ10アトラクションかどうかは、人それぞれ好みや興味の違いがあるので何とも言えないが、それは分厚いガイドブックでも同じことなので、ひとつの意見として参考にする、という使い方がやはり正しいのだろう。チェンマイ県内のトップ10アトラクションについては、国立公園やチェンダーオ洞窟など、自然系のスポットが多くピックアップされているようだ。ドーイインタノンもここだけ独立して10ヶ所が紹介されているが、ロンリープラネットなど、日本のものとは比較にならないくらい情報の量・質ともに充実しているガイドブックでもここまで詳細には取り上げていない。もしかすると、筆者はドーイインタノンがとても気に入っているのかもしれない。
下で紹介している「MAP'N'GUIDE CHIANGMAI」でも書いているが、地図の体裁を取りながらそこにガイドブックとしての機能を盛り込む、という考え方(コンセプト)は割と容易に思いつくし、それ自体は間違ってもいないと思う。コンパクトな冊子で、地図とガイドブック双方として十分活用できるだけの情報内容が伴うのであれば、旅行者にとっては非常に便利であることは確かだからだ。しかし、実際に上梓されているこのコンセプトに取り組んだ(と思われる)出版物を見てみると、どれもがどっちつかずの中途半端なものになってしまっていて、使い手からすると満足するにはほど遠い内容であるように感じられる。このマップも、グループツアーでチェンマイに来て1日だけフリータイムがある、というような旅行者にとっては用が足りるかもしれないし、また、重点的に取り上げられているドーイインタノンに行く計画のある人は入手しておくといいかと思うが、やはり基本的には地図は地図、ガイドブックはガイドブックでそれぞれ別に持ち併用するほうが、より充実した旅ができるのではないだろうか。
≪スペック≫
*地図総点数……4点
*地図内容……チェンマイ県全体(主要国道&観光スポット)、ドーイインタノン、チェンマイ市街、チェンマイ郊外(メーリム〜サムーン〜ハーンドン&ドーイステープ)
*その他の内容……チェンマイ県、ドーイインタノン、市内のトップ10観光スポット、ホテル&レストランリスト、交通機関案内、ショッピングスポット紹介など
*タイ語表記……なし
■CHIANGMAI MAP'N'GUIDE
発行:Groovy Map Co.,Ltd.
ISBN:974-525-032-5
価格:150THB
クルンテープ(バンコク)に本社を持つ会社が発行している。体裁は折りたたみ式の一般的なマップのようになっているが、タイトルの通り地図とガイドを兼ねる、というコンセプトで制作されており、大きく開くと片面はチェンマイ市街マップ、反対面は文字中心のガイドブックという作りになっている。素材は厚手のコート紙で、耐久性は高そうだ。
市内マップは、西はチェンマイ大学、東はチェンマイ駅の先、北は市営競技場の先、南はマヒドン通りの少し北までがカバーされている。4色カラーでたいへん見やすいが、道路は主要なものだけが掲載されており、ソイ(小道)はほとんど省略されてしまっているので、徒歩での街の探索用としては少々辛いだろう。ホテルや寺院、病院、郵便局、ガソリンスタンドなどは比較的詳細にプロットされているほか、ターペー通りなど観光スポットとなる通りやエリアなどには吹き出しで簡単な説明が併記されているので、ホテルのレストランで朝食を取りながら、“さあ、今日はどこに行こうか”などと考える時には、重たいガイドブックを持っていかずにこれを持って行けばいいというような利点もある。また、“Old
City Bike Tour”として、自転車でお堀に沿って旧市街を観光するためのルート案内が出ており、貸し自転車を使って市内観光をしようと考えている人には役立つかもしれない(個人的にはあまり自転車で市内を走るのはお勧めしないが)。
一方ガイドブックのほうだが、正直言ってこのスペースでレストランやショッピングスポットから大使館・航空会社の所在地情報まで盛り込むというのは少々欲張りすぎではないだろうか。レストランの項では30軒ほどがごく簡単な説明文とともに紹介されている(マップにもこれらの店は位置がプロットされている)が、この情報だけで今晩どこに夕食を食べに行くかを決めるのはなかなか難しいだろう。同様に、そのほかの情報も量・質ともに中途半端という感は否めない。
思うに、このマップのコンセプトであると推測される“地図(の体裁……サイズ・スペース)にガイドブックに兼ねさせる”ということ自体にそもそもかなり無理があるのではにだろうか。人によって地図やガイドブックに対するニーズ、ウォンツは異なるだろうが、地図として使うにしても、ガイドとしてとして使うにしても“これ一冊で十分用が足りる内容だ”ということはできず、旅先ではとにかく持ち物を軽くしたいというのが最優先である人ならともかく、やはりガイドブックと地図はそれぞれ専門のものを持ち歩いたほうが、より充実した旅を送ることができるのではないだろうか。
≪スペック≫
*地図総点数……2点
*地図内容……チェンマイ市内、チェンマイおよび周辺県主要国
*その他の内容……レストラン紹介、バー&パブ紹介、ショッピングスポット紹介、一般旅行情報(航空会社、レンタカーショップ、各国大使館の所在地、電話番号など)、スポーツ施設情報、料理学校情報など
*タイ語表記……チェンマイ市内地図のみあり
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■GLOBETROTTER CHIANG MAI AND NORTHERN THAILAND
発行:New Holland Publishing
ISBN:1-85368-885-166
価格:8.95USD
アメリカの会社が発行している地図で、タイ北部全体および北タイ主要都市のマップを掲載している。
カバーにはかなり厚目の紙が使用されており少々ゴツい印象を受けるが、長く旅行する時などには折れ曲がったりしにくいのでいいのかもしれない。地図は全部広げると、縦70cm・横90cmくらいとかなりの大きさがある。片面に北タイ全体図とチェンマイの広域マップ、もう片面にそのほかの地図(下記スペック参照)が掲載されている。
チェンマイ市内の地図はスーパーハイウェイの内側をカバーしているが、道路は主要なものしか載っておらず、一人で路地などをブラブラ歩いてみたい、などという旅行者には物足りないレベルだが、寺院や市場などの見どころは数多くプロットされている。地図に使われてる色数も少ないが、それでいてすっきりと見やすいのは、色の選び方が上手だからだろう。
タイ北部の地方都市も下記のようにかなりの数がカバーされているが、チェンマイの地図と同様に内容はシンプルなもので、これだけを持って旅行するには正直少々物足りないと思われる。タイ北部全体マップもほぼ同じような作りになっているが、主な街や観光スポットなどは記載されているし、街と街の間の距離も載っているので、都市間の移動という程度で使うのであれば十分であろう。
地図以外の観光ガイドなどは、紹介されているスポットも数える程度で説明の内容量もわずかなので、これだけでそれらを見て回るのはちょっと辛いと思う。
タイトルの通り、チェンマイとタイ北部をカバーした地図であることは間違いないのであるが、チェンマイだけを旅行するのであればチェンマイだけが詳しく載っている地図のほうが有用だし、北タイの各都市を回りたいのであればほかにいくつも同じような地図が出ているので見比べてみて自分の気に入ったものを買うようにしたらよいだろう。
正直言って、この地図を強力に推薦する“コレッ!”っていう強みが見つけられなかったが、かといって「これは使わないほうがいいよ」っていうような欠点があるわけでもない。何とも評価の難しい地図である、ということは言えるかもしれないが(笑)
≪スペック≫
*地図総点数……11点
*地図内容……チェンマイ(市内・周辺)、チェンラーイ、メーホンソーン、ラムプーン、ラムパーン、プレー、ナーン、パヤオ、タイ北部、ゴールデントライアングル
*その他の内容……インデックス、主要都市間距離一覧表、祭りカレンダー、チェンマイおよび周辺観光ガイド(見どころなど)
*タイ語表記……なし
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■CHIANGMAI-NORTHERN THAILAND
発行:Periplus Editions
ISBN:962-593-573-8
価格:979JPY
シンガポールの出版社が発行する“Travel Maps”シリーズの1冊で、タイはほかにバンコク、コサムイ、プーケットがある。厚手の紙のカバー(表紙)がつけられている4色刷りのきれいな見やすい地図で、メインのチェンマイは縮尺1/20,000。東・北・西はスーパーハイウエイのやや外側、南は国道1141号線(オームムアン通り)までがカバーされている。地図には特に寺院が多くプロットされており、主要な寺院とナイトバザール、タラート(市場)など主要な観光スポットには番号がつけられ説明が別スペースに添えられているので、簡単なガイドブックとしても使えるようになっている。道路については細かいソイ(小道)までは載っていないようだが、旅行者が使う分には十分実用に耐えられるのではないだろうか。また、チェンマイについてはもうひとつ盆地の1/150,000の地図もあり、こちらでは北はメーリム、西から南にかけてはサムーン、チョムトーン、東はサンカムペーン、ドーイサケットまでがカバーされている。小さな村や寺院なども数多く記載されているので郊外のドライブにも使えると思うが、ヴィアン・クムカームやヴィアン・ターガーンなどの遺跡は紹介されておらず、個人的には少々不満が残る。チェンマイ以外にも「スペック」に記載している各種地図があり、これらの街についてはチェンマイ同様簡単な観光スポットの解説もある。
正直言って、これといった特筆すべき優れたところもないが、かといって決定的な不満点も見つからず、そういった意味では大方の旅行者にとって利用できる地図と言うことができるのかもしれない。チェンマイだけを深く旅行するのには少々物足りないかもしれないが、記載されている北タイの街を包括的に旅して回るための地図、ということであれば大きな問題はないだろう。
≪スペック≫
*地図総点数……6点
*地図内容……チェンマイ(市内・周辺)、チェンラーイ、メーホンソーン、タイ北部、ゴールデントライアングル
*その他の内容……インデックス、観光スポット紹介、旅行インフォメーション
*タイ語表記……なし
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■NORTHERN THAILAND HIGHWAY MAP
発行:Books Athens
ISBN:9-789742-422
価格:100THB
タイトルから、北タイのハイウエイ(国道)路線図がメインかと思いきや、それは2/3面だけで、片面はチェンマイ市内の地図が占めている。市内地図には、主要な通りだけで細かなソイ(小道)は記載されておらず、ランドマークも寺院、病院、役所、市場程度でそれほど多くはないが、すべてにタイ語の表記がなされている。タイ人は地図を読めない人が多いので、タイ語表記があるかないかは地図を選ぶ時の重要なポイントになるのだが、その点ではトゥクトゥクなどに自分の行きたいところを示したり、道に迷って人にたずねたりする時には役に立つと思う。チェンラーイ、ラムパーンの地図も、チェンマイ市内と同じような作りになっている。
一方、北タイのハイウエイ路線図の方は、東はルーイやチャイヤプーム、南はナコンサワンまでの広大な地域をカバーしており、道は、舗装された国道・舗装された県道・単なる舗装道に色分けされてすべてに号線が記されている。また、チェンマイの市内地図と同様に、街の名前にはすべてタイ語が併記されている(一部の街はタイ語表記のみ)ので、バスターミナルなどでも役に立つことだろう。また、地方にある観光スポットもプロットされており、ガイドブックには載っていないようなところを気ままに訪れてみたい、というような旅人は興味をそそられるかもしれない。
緻密に作られている、というカンジではないため、必ずしもベストとは言えないと思うが、サブユースとして持つなら十分使える地図だと思う。
≪スペック≫
*地図総点数……5点
*地図内容……チェンマイ、チェンラーイ、ラムパーン、タイ北部、タイ全土
*タイ語表記……あり
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■THAILAND NORTH ROAD MAP
発行:Berndtson&Berndtson
ISBN:3-928855-12-3
価格:149THB(ラミネート版)
ドイツの会社が発行しているタイ北部の総合マップ。チェンマイ以外の主要都市もカバーしているので、これひとつあればこの地域を旅行するには十分だろう。紙質がよく、また印刷も色使いがとてもきれいなので、大変見やすくなっている。北部全体図では、山並みなどの地形も忠実に表現されており、バスでの移動の時などはこの地図を見ながら外の景色をながめたりしても楽しいのではないだろうか。チェンマイ市内の地図は、細かなソイもかなり正確に記載されており、信頼できる。また、寺院と宿泊施設の記載が特に多く、ゲストハウスも大きなところなら紹介されている。ただ、道路の一方通行の表示が一部のみになってしまっているのが残念。
折り目が切り離されラミネート加工されたタイプと何も加工されていないプレーンタイプの2種類が販売されており、前者は折り目が破れたり見にくくなったりすることがないだけでなく、雨が降った時にも濡れることを気にせず広げられる。旅行者のニーズをよくわかった、いいアイディアだと思う。
≪スペック≫
*地図総点数……6点
*地図内容……チェンマイ(市内・周辺)、チェンラーイ、メーホンソーン、タイ北部、ゴールデントライアングル
*その他の内容……インデックス、タイ北部概要
*タイ語表記……なし
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